うらおもて人生録(色川武大著)

生きにくい部分を受け止める

色川武大と聞いてピンとくるのは、読書家かバクチ打ちか…ワタシはどちらでもないが、名前だけは親から聞いて知っていた。

プロの博打打ちから、作家になった男が語る人生録。

面白そうじゃないかと軽い気持ちで読んでみたら、想像以上に深かった。

大通りを闊歩するような華々しい道だけが成功ではなく、人生なにもかもうまくいくわけではないから、総じて勝ったと思えるところを目指せというのは、ごもっとも!!というか、納得。

そのラインを目指していくには、「自分のことを正しく知る」ことが大事で、自分のダメなところ、苦手なことにも目を背けず受け止める(改善しようと思いすぎず)ことが大事なんだろうなと思う。

9勝6敗を狙え

そう色川氏は何度も書いている。

  • プロは一生を通じてその仕事でメシが食えなくちゃいけない

  • だから、プロの基本的フォームは持続が軸であるべきだ

  • しかし、なにもかもうまくいくとは限らない

勝ち続けるのではない、人生は長いから「勝ち凌いでいく」感覚。心の健康にも身体の健康にも良い気がする。

とはいえ、9勝6敗ってのもなかなか難しいですよ。

というわけで、運と実力の話になる。

  • 実力というものは、負けないためにあるのです。負け越さないために、実力を習練するのです。

  • 運を消費したり、補填、倹約しながら生きているが、運の消費をおそれてはいけない。

  • だから実力の部分では毅然と、運の部分では用心深く手探りでおずおずと。

これは、稲盛和夫の「大胆さと慎重さをあわせもつ」と同じことを言っている。慎重というよりも「用心深く」という表現が大事な気がする。ビビってたら何も出来ないけど、無茶や無謀はよくない。何事も用心深くだ。このバランスを取るという感覚は、仕事でも人間関係でも本当に大事だ。

どんな例外にも身体が反射的についていくことができるかどうか。それには一万例、二万例の例外を眺めることがまず必要だ。何万例の例外を頭の引き出しに整理してしまっておけば、一人前だが、まず、眺める経験を積んで、実際は例外に満ちているということを身体にしみこませ、身体をなれさせなければならない。

どんな仕事でもそうだよね。世の中は例外に満ちている。それを「自分の価値観が正しい、お前は間違っている」では、実力発揮どころか運も消費してしまうのだろう。コンサルタントの仕事もそうだ。数多の例外にどう反射的に対応するかは、やはり実績を踏まなければならない。でも、力んでやろうとするとロクなことないんだから、まぁ眺めなさい。そんなことを色川氏は言っているのでは?と読んだ。

俺は俺の都合を主にしたい。

会社は会社の都合を主にしたい。

ところが、双方とも自分の都合だけでは成り立たない。

理想的なのは、俺も9勝6敗狙い、会社も9勝6敗狙い。これが難しいんだな。五分五分ならいい方だ。9勝6敗を狙って健闘して、やっと五分五分になるかな。

しかし本当は五分五分では、ただ凌いだというだけだ。俺は会社に勝ち越したい、会社は俺に勝ち越したい。

そのために双方が協力しあうんだね。

矛盾しているように見えるだろうが、この矛盾が、実は事物の本質でもあるんだな。

双方が協力しあう。まさに!!

これもバランスの話!!

だから、やれることは一生懸命やろう。やった方がいい。でも、危険運転はいかんのだよ。自分も相手も壊してしまうからね。

というわけで、興味ある方は是非お読みください!

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