骨太方針2022「人への投資と分配」

先日「人的資本経営」について執筆依頼があったため、人的資源と何が違うのか、政府の骨太方針2022との繋がりなど、改めて勉強をする機会になった。

細かい点は、こちらの記事「人的資本とは?注目の理由や情報開示の効果、高める方法3つを紹介」をご覧いただくとして、、、なぜ人的資本という言葉がフォーカスされているかというと、日本企業のヒトへの対応がいまだに場当たり的で時代の流れと取り組みが見合ってないことが挙げられるでしょう。

キャリア選択の自由、人材の流動化、リカレント教育やリスキリングの重要性などが叫ばれている中で、いまだ「採用に苦戦」「定着に苦戦」「若い人が辞める」「人が育たない」などと目先の課題にあくせくしている企業が多いのが現状である。

人材紹介サービスに大切な売上を捧げるばかりで、人や組織の根本的な問題を先送りにしてしまう悪循環に陥っている(いた)企業も多い。

結局のところ、人材に対して企業が投資をしてこなかったからこそ、育たない、定着しない、組織として動けないという悪循環なわけです。

ただ気をつけなければいけないのは、育たないというキーワードに騙されて安直に研修などで対処するのはとても危険だということ。

採用して、育成して、適切な経験を積ませて、評価して、さらなる配置に活かす。このスパイラルを作るために、経営戦略から導かれた人材戦略(ロードマップ)をしっかり立てることが必要なのだ。

したがって、総務人事などの間接部門をただのコスト部門にしていては人材戦略は作れないため、戦略的な部門としての役割に変えていかなければいけない、というのが今後の流れにもなるだろう。これは人事だけでなく、調達部門や財務部門なども同じだといえる。

がしかし!

製造業などを見ていると、「そもそも汚い工場」とか「整理整頓があまりに出来てない」とか「トイレが汚い」とか、そこを直すだけで採用も定着も楽になれるのでは?という企業も多い。現場の働きやすさや居心地を軽視して人材戦略などと頭でっかちになってると足元を救われる。

先日も自分のクライアント先で「この配線見直したら仕事しやすくなるよね」って話したら「あー、退職した人が辞める前に、何が嫌か聞いたらこの配線って言ってたんだよなぁ」って。社長にしてみれば配線くらいで、と思うかもしれないが、他人からしたら日々のストレスなわけだ。社長から見た「いつもの居心地のよい我が家」は、従業員からはそう映らないから。

というわけで、数十人以上の企業の場合は、組織改革しながら環境改善。数人の企業ならまず環境改善というケースも。環境がそれなりに整ってる企業であれば、戦略から落とし込んだり、評価育成から取り組んで戦略と整合性を取るとか。

いずれにせよ、組織や人材に対する今後の流れは、戦略的なものが求められているというわけです。

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