経営コンサルタントを上手に使う人、うまく使えない人

長年コンサルタントとして現場に立っていると、経営者には「コンサルタントを上手に使う人」と「使えない人」がいることが、少しずつ見えてくる。

コンサルタントを上手に使う人は、自分の中に「こういう会社にしたい」「ここに向かいたい」という仮説や意思がある 。もしくは、最初は持っていなくても、コンサルティングを続けているうちにそれが芽生えてくる。

一方で、うまく使えない人は、どこかでコンサルタントに“正解”を期待してしまう。「何をやればいいですか?」「とにかく提案してください」と言いながら、その提案を実行する覚悟も、選び取る覚悟も実はなかったりする。

コンサルタントを上手に使う人に共通しているのは、答えを求めるのではなく、考える材料を集めに来るという姿勢である。こうした人たちは、コンサルタントを上手に振り回す。 問いを投げ、仮説をぶつけ、別の角度からまた考えさせる。結果として、コンサルタントの思考力や経験値が最大限に引き出されていく。

問いに対して素直であることも、大きな特徴だ。

指摘をそのまま鵜呑みにするのではなく、「なぜそう見えるのか」「うちの会社だったらどうするか」と一度立ち止まって考える。その姿勢が、議論を深め、意思決定の質を変えていく。

そして、私のこれまでの経験でいえば、この上手さは「経営者本人」ではなく「経営者をサポートする立場の社員」であったりすることが多い。

経営者の役割は、大きな枠組みで考え、方向性を示すことだ。そのレベルであれば、壁打ち相手としてのコンサルタントでも十分に機能する。 しかし、実際に何かを前に進めようとした瞬間に重要になるのは、実行部隊の存在である。現場を預かる部門長やプロジェクトリーダーが、コンサルタントをどう使えるか。 この差が、改革が「絵に描いた餅」で終わるか、「現実が少しずつ動き始めるか」を分けるように思う。

実行部隊の長がコンサルタントと向き合い、問いを立て、試行錯誤を重ねることで、コンサルティングは単なる外部支援ではなく、人材育成の場にもなる。 考える力が鍛えられ、判断の軸が育ち、次からはコンサルなしでも前に進めるようになる。

だからこそ、コンサルタントの価値は「何をしたか」では測れない。

誰が育ち、何が組織に残ったか。そこにこそ、本当の意味があるのだと思う。

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