真面目の功罪
真面目の功罪
もう少しいい加減な人たちなら、組織はもっと良くなってたのに
こう感じる場面によく出会う。
たとえば、IT化が進まない企業。
「その資料は紙で稟議を回しています」、「出社しないとシステムが触れないので出社しています」、「前の人がやっていたので忠実にやってます」・・・などなど
なぜ、やらなくていい方法を考えないのだろう
きっと真面目なのだろう。馬鹿にしてるわけじゃない。ホントにそう思う。決まり事やルールには忠実で、そこを守ることに一生懸命。
「なんのための紙の資料ですか?」、「なんのための作業ですか?」、「なんのための会議なんですか?」というと・・・あれ?となる。
お客様、お客様と向き合ってきた企業。お客様は大事だが「生産性」という2文字は後手に回る。
本年度の中小企業白書にも「自己資本比率は高まっても、損益分岐点が低い中小企業がが多い」と提言されているのも、カスタマーオリエンテッドな考えはできても、自社に向き合い、人に向き合い、効率化する、付加価値を高める。という意識は意外と薄かったのかもしれない。
もしかしたら、日本人の真面目さゆえかもしれない。
バカ正直さという独りよがり
従業員と経営者の関係、上司と部下の関係でも、真面目さをうまく吸収できないことがよくある。
「しっかり向き合うことが大事」というのは当たり前なのだが、向き合い方にもサジ加減というものがある。バカ正直に向き合うことだけが「しっかり」ではない。逆に裏目にでることもある。恋愛でも同じで、「好きだ、好きだ」と追い掛け回していたらストーカーだ。
バカ正直さというのは、「独りよがり」なのだろう。
自分の立場を守るために、相手との距離感や立場の違いを推し量れずに突っ走る行為だから。
とはいえ、「良かれと思って」が裏目に出るのは不幸である。
時代の変化はめざましい
先のIT化もそうだが、「良かれと思って」真面目さを発揮して対応してたが、世の中はあっという間に進化していて、自分の組織が時代遅れということが、まさに今起こっている。
変化は連続ではなく、非連続で爆発的に起きる時代だ。
テレワークもキャッシュレスもそう。一昨年はそんなに浸透してなかったはずなのに、あっという間に広がってきた。やってみたら便利なこともオンパレードだ。
先日、経費精算をクラウド化した企業の話を聞いたら「ほんと、便利になった。今まで何やってたんだろう」と、
日本で生産性が上がらない理由のひとつ
「価値」への意識が低い。
経費精算は価値を生むかと言ったら、業務上必要な管理作業ではあっても、価値は生まない。
報告書もそうだ。短時間で要点を押さえた文章でまとめることが必要であり、作成に多大な時間を割くのは無駄だ。むしろ仕事を獲得するための提案書作成や、顧客接点や、自己研鑽に時間を注力した方が価値が高いだろう。
なんのために時間を割いたのか、その結果がプラスでもマイナスでも実りがあったのかだ。
これからの働き方は多様。
それなのに、ジョブ型という言葉が、いまいち多くの組織にピンときてないのも、この日本型の真面目さに起因してはいないだろうか。
職場にいる時間の長さを評価する時代は終わってるし、その評価軸が真面目さの功罪が、生産性の低さに現れている。
「良かれと思って」行動する前に、よく考えたり、よく話し合ったりして、目的に立ち返る。これがいらぬ真面目さを排除できるコツかもしれない。