苦しい時に経営理念が使えるか、本当の経営者を試されるとき
「理念経営が大事です」と言われることは多いですが、本当に理念が試されるのは、会社の業績が順調なときではない。むしろ、売上が落ちたとき。上がらないとき。大事な社員が辞めるとき。資金繰りに不安を感じるとき。
経営者が苦しい判断を迫られたときこそ、経営理念の価値が問われる。
ところが、意外と一番苦しい場面で理念が使えなくなってるケースは多いのではないだろうか。
「今はそんなことを言っている場合じゃない」
「まずは売上だ」
「今回は理念はともかく、前に動こう」
そんな判断が積み重なるうちに、理念は額縁に飾られた言葉になってしまう。
これは経営者にとって実は一番つらい・・・はず。
理念を掲げたのに、いざという時の判断軸にならない。
理念を信じたいのに、現実を前にすると使い方がわからない。
実は、多くの経営者は「理念をつくること」は学んでも、「理念を使うこと」は学んでいない場合が多いのではないだろうか。
理念は、会社を飾るための言葉ではない。
採用するかどうか。昇格させるかどうか。この仕事を受けるか断るか。短期的な利益を優先するか長期的な信頼を守るか。
迷ったときに、何を守り、何を手放すのかを決める判断基準。それが理念でしょう。
もちろん、理念だけで会社経営はできません。
利益も必要ですし、現実を見据えた経営判断も欠かせません。
そう、【理念は、売上や利益を保証しないんですよ】
だからこそ、本当の経営者かを試されてしまう。
売上利益が出ているときに理念を語ることは、それほど難しくないが、本当に難しいのはうまくいっていないときになるから。
目の前の売上を優先すれば楽になるかもしれない。理念を曲げればこの苦境を乗り越えられるかもしれない。
そんな葛藤の中でも、「私たちは何のために存在する会社なのか」という問いに立ち返り、意思決定できるか。その積み重ねが会社の文化を作り、社員の信頼となり、長い時間をかけて企業の強さになっていく。
経営理念とは会社の骨組み。だからこそ普段は目立たない。
しかし、嵐が来たとき、その骨組みの強さが初めてわかる。
苦しい時に理念が使えないのはつらいだろうが、それ以上につらいのは、理念を持ちながら、その理念を判断軸として使えていないことである。
苦しい時こそ経営理念に立ち返り、保身ではなく意思で判断できる経営者でありたいと私も一人会社の経営者、人前で支援する立場として思います。そして、そのような経営者が一人でも増えることを願って。